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文語詩50/15

〔こらはみな手を引き交へて〕

こらはみな手を引き交へて、 巨けく蒼きみなかみの、

つつどり声をあめふらす、  水なしの谷に出で行きぬ。


厩に遠く鐘鳴りて、     さびしく風のかげろへば、

小さきシャツはゆれつゝも、 こらのおらびはいまだ来ず。



(下書稿3推敲後)

まひるの風のかげろひに
アネモネ白くなみだてば
ちいさきシャツのみなゆれて
子らのおらびはいまだ来ね



(下書稿3推敲前)

子らはその手を 引き交へて
巨けく蒼き   みなかみの
つつどり声   あめふれる
ひかりの洞に  いで行きぬ

みどりなる   日はしたたりて
たまゆらを   風かげろへば
ちさきシャツ  なべてゆらぎて



(下書稿2推敲後)

準平原の母
           外山所見

こらはみな手を引きへて
巨けく蒼き みなかみの
つゝどりの声 あめふれる
ひざしのなかに出で行きぬ

ひるの緑油あぶらのしたたりて
さびしく風のかげろへば
乾きしシャツみなゆれて
子らのおらびはいまだ来ね



(下書稿2推敲前)

峡流の母

こらはみな、手を 引きへて
巨けく蒼き みなかみの
つゝどりの声 あめふれる
ひざしのなかに出で行きぬ

二列亘れる岩なみの
水なき谷の青草を
こもごも過ぐる雲かげに
かの前髪やひそむらん

風にとらるゝその歌や
わづかに円きくちびるを
うたひつかれていまはかも
アネモネの毛や毬すらん

ひるの緑油あぶらのしたたりて
さびしく風のかげろへば
乾きしシャツみなゆれて
子らのおらびはいまだ来ね



(下書稿1)

こらはみな手を引き交へて
巨けく蒼き   みなかみの
つゝどりの声  あめふれる
ひざしのなかに 出で行きぬ

ひるの膏油あぶらの したたりて
さびしく風の  かげろへば