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文語詩50/11

〔たそがれ思量惑くして〕

たそがれ思量惑くして、  銀屏流沙とも見ゆるころ、
 
堂は別時の供養とて、  盤鉦木鼓しめやかなり。
 
 
頬青き僧ら清らなるテノールなし、 老いし請僧時々に、
 
バスなすことはさながらに、 風葱嶺に鳴るがごとし。
 
 
時しもあれや松の雪、  をちこちどどと落ちたれば、
 
室ぬちとみに明るくて、  品は四請を了へにけり。


(定稿推敲前)


たそがれ思量惑くして、  銀屏流沙とも見ゆるころ、

堂は別時の供養とて、  盤鉦木鼓しめやかなり。


頬青き僧ら清らなるテノールなし、 寄寓の老僧時々に、

バスなすことはさながらに、 風葱嶺に鳴るがごとし。


時しもあれや松の雪、  をちこちどどと落ちたれば、

室ぬちとみに明るくて、  品は四請を了へにけり。


(下書稿3推敲後)


いくたびうちくだけつゝ
たそがれい思量は惑く
こんこんと雪のしきれば
銀屏の流沙ルサともゆる

堂はいま別時の供養
しめやかに盤鉦は鳴り
もろともに誦しぞいでぬる
寿量品第十六や

頬清らなるテノールなすは
頬青きかの僧ならん
巨いなる弦器のごとく
バスなすはかの寄寓僧

松の雪どどと落ちたれば
室ぬちのとみに明るき
品すでに四請を了へて
木鼓の音やゝに急なり


(下書稿3推敲前)


いくたびうちくだけつゝ
たそがれい思量は惑く
こんこんと雪のしきれば
銀屏の流沙ルサとも見ゆる

堂はいま別時の供養
しめやかに盤鉦は鳴り
もろともに誦しぞいでぬる
寿量品第十六や

頬清らなるテノールなすは
頬青きかの僧ならん
巨いなる弦器のごとく
バスなすはかの寄寓僧

松の雪どどと落ちたれば
室ぬちのやゝに明るき
品すでに四請を了へて
木鼓の音やゝに急なり


(下書稿2)


きよらなるテノールなすは
頬青き雲水ならん
巨いなる弦器のごとく
となふるは主座の老僧

こんこんと雪のしきりて
銀障のたそがるゝころ
品すでに四請を了へて
木鼓の音いまし急なり


(下書稿1推敲後)雨ニモマケズ手帳129、130頁

報恩寺訂正


しめやかに木魚とゞろき
衆  いま誦し出づる
寿量品第十六や
清らなる────
さらばいざ座を解きて跪し
双手しておろがみ聴かん
わが不会と会とのかなたに
み仏のとはにゐますを
どと落ちし────
────────
木魚いまやゝ急にして
み経はも三請に入る


(下書稿1推敲前)雨ニモマケズ手帳129、130頁

報恩寺訂正


しめやかに木魚とゞろき
衆  いま誦し出づる
寿量品第十六や
清らなる────
さらばいざえりをととのへ
われもまたこゝに誦しなん
わが不会と会はさもあれや
み仏はとはにゐますを
どと落ちし────
────────
木魚いまやゝ急にして
み経はも三請に入る