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文語詩50/10

〔盆地に白く霧よどみ〕

盆地に白く霧よどみ、 めぐれる山のうら青を、
 
稲田の水は冽くして、 花はいまだにをさまらぬ。
 
 
窓五つなる学校まなびやに、  さびしく学童らをわがまてば、
 
藻を装へる馬ひきて、 ひとびと木炭を積み出づる。


(下書稿3推敲後)

二学期

盆地に白く霧よどみ
めぐれる山のうら青を
稲田の水は冽くして
花はいまだにをさまらぬ


窓五つなる学校まなびや
さびしく学童らをわが待てば
藻を装へる馬ひきて
ひとびと木炭すみを積み出づる


(下書稿3推敲前)

二学期

窓五つなる学校まなびや
五とせなせと裁かれつ

盆地に白く霧よどみ
めぐれる山のうら青し

稲田に水は冽くして
その花いまだをさまらぬ

藻を装へる馬ひきて
ひとびと木炭すみを積み出づる


(下書稿2推敲後)

凶作地

そこは盆地のへりにして
稲田はせばく 水清く
馬は黒藻に護らるゝ

やどり木けし栗の下
髪やゝ青きうなゐらの
白たんぽゝの毛を吹かん


(下書稿2推敲前)

凶作地

そこは盆地のへりにして
稲田はせばく 水清く
馬は黒藻をよそほへり

やどり木けし栗の下
丘に五つの窓もてる
宿直いへゐをかねし校舎あり

髪やゝ赤きうなゐらの
白たんぽゝの毛を吹かん

とは云へなれがそのひとみ
そこに朽ちなんすがたかは
そらは晴れたりなれを祝ぐ


(下書稿1推敲後)

そこは盆地のへりにして
稲田はせばく 水清く
ひとびと木炭をととのふる

丘に五つの窓もてる
宿直いへゐをかねし教室の
やどり木つけし栗の木を
うちめぐらして建てるあり
髪やゝ赤きうなゐらの
かたみになれをうちかこみ
白たんぽゝの毛を吹きて
よきものがたり請ふらんを
かしこに朽ちなんすがたかは

とは云へなれがそのひとみ
そこに朽ちんすがたかは
いざそこにしてなが笛に
風のいのちを秘めて来よ


(下書稿1推敲前)

そこは盆地のへりにして
稲田はせばく 水清く
ひとびと木炭をととのふる

東は仙人六角牛
洞に水湧き雲湧きて
南なだらの高原に
黄金の草こそ春は鳴れ

そこに五つの窓もてる
宿直かねし教室の
やどり木つけし栗の木の
うちめぐらして建てるあり

とは云へなれがそのひとみ
そこに朽ちんすがたかは
いざかしこにてさびしさを
青ぞらにこそ織りて来よ