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文語詩50/1

〔いたつきてゆめみなやみし〕


いたつきてゆめみなやみし、 (冬なりき)誰ともしらず、

そのかみの高麗の軍楽、   うち鼓して過ぎれるありき。


その線の工事了りて、    あるものはみちにさらばひ、

あるものは火をはなつてふ、 そしてまた冬はきたりぬ。

 


(下書稿2)


いたつきて ゆめみなやみし
(冬なりき) 誰ともしらず
そのかみの 高麗の軍楽
うち鼓して まちを過ぎりぬ

かの線の  工事了りて
あるものは みちにさらばひ
あるものは 火をはなつてふ
いづちにか ひとは去りけん

 


(下書稿1推敲後)

鼓者

ときにわれ胸をいたづき
日もよるもゆめみなやみき
そがなかにうつゝをわかず
なが鼓の音街をよぎりし

おぼろなる吹雪をあびて
そのかみの高麗の軍楽
人知らぬよきしらべして
なれはかも過ぎ行きにけん

かの線の工事了りて
あるものはみちにさらばひ
あるものは火をはなつてふ
いづちにかなれの去りけん

いづくなるわらべの群か
春光になれを囲まん

 


(下書稿1推敲前)

鼓者

ときにわれ胸をいたづき
日もよるもゆめみなやみき
そがなかにうつゝをわかず
なが鼓の音町をよぎりし
そのリズムいとたゞしくて
なやみをもやゝにむすれき

のき低きみちのさなかに
崩れたる白き光や
おぼろなる吹雪をあびて
そのかみの高麗の軍楽
人知らぬよきしらべして
なれはかも過ぎ行きにけん

わが病いまし怠り
許されて新紙をとれば
かの線の工事了りて
あるものはみちにさらばひ
あるものは火をはなつてふ
いづちにかなれの去りけん

チャルメラや銅鑼をともなひ
黄の旄やほこをしたがへ
雪ふかき山のはざまを
進みけんなが祖父たちと
いま白き飴をになひて異の邦をさまよふなれよ